弊社新規案件として、既存のコールセンター業務を再構築する機会がありました。
コロナ禍によるリモート体制の導入が必要であったこともあり、
Twilioを利用し、クラウド型コールセンターを新規で構築することとなりました。
稼働状況
今回構築したコールセンターの稼働状況は以下になります。
- コールセンター人数:約10名
- 受電件数(月):約1,000件
- 条件:平日時間外は外部へ転送、休日は自動音声案内
機能
主として以下の機能を搭載しました。
- 営業時間内/時間外、休祝日の制御
事前に定めた日時設定に応じて、自動音声案内や外部への転送を行います - 音声案内切り替え、緊急時等の受電モード切り替え
日時とは別のステータスを設けることで、細かい受電モードの制御を行います - 内線担当者の切り替え
グループを設定し、受電内容に応じた担当者の切り替えを行います - 離席等の独自ルールのACD設定
通話中/離席中などのステータスに応じたACD(受電したコールを自動的に管理、コントロールする機能)設定が可能です - 受電時の事前通知
受電時、担当者にコールされる前に電話番号や受電担当者の名前などを事前に通知します。 - 録音音声の確認・ダウンロード
録音した音声をブラウザ上で確認したり、ダウンロードすることができます。 - 外部システムとの連携
受電時に電話番号等の情報を外部システムに送信することで、そのシステムから必要情報を取得したり、受電時の情報を登録するよう連携しております。
大まかな機能については以上になります。
用意した機能のうち内線担当者の切り替えや受電時の事前通知に関しては、運用後の顧客からのフィードバックに応じて追加した機能となります。
このように柔軟に機能を追加・修正していくことが可能であることが「Twilio Flex」のメリットともいえるでしょう。
「Twilio Flex」をベースとし、各種機能をカスタマイズすることで構築しました。
「Twilio Flex」とはTwilioが提供するクラウド型コールであり、以下の特徴があります。
- 導入が容易
- オペレーター業務に必要な様々な機能が搭載
- プログラムでの管理、既存アプリケーションとの連携が可能
- コールセンター運用全体の分析が可能
この「Twilio Flex」をベースとすることで、簡単に素早く、それぞれのニーズに応じてカスタマイズされたコールセンターを立ち上げることが可能となります。
ベースとした「Twilio Flex」に加え、各種機能のカスタマイズに関しては以下を使用しました。
- Programmable Voice:
音声通話を行うためのサービスです。
電話の発着信や自動音声応答を制御したり、通話記録を活用したり、電話に必要なあらゆる機能をプログラムでコントロールできます。 - Sync:
ブラウザ、Android、iOS 間で簡単かつリアルタイムにデータをやり取りする仕組みです。
通知やオペレーターのステータスなどの様々な情報を各端末で同期する必要があるため、利用しています。 - Twilio Studio:
自動応答システムを構築するためのツールになります。
「音声を再生する」「電話を転送する」といった動作があらかじめパーツとして用意されており、それらを組み合わせていくことでシステムフローが完成します。ドラッグ&ドロップで必要なパーツを編集画面上に並べ、線で結んでいくだけなので、プログラミング知識がない人でも自動応答システムを構築することが可能になります。
今回では、受電からコールセンター(Twilio Flex)に通知するまでの制御(主に休日判定や緊急受付モードの切り替え)をこのを利用し実現しました。
- Twilio Functions:
プログラムを作成・実行するためのサーバーレス環境になります。
この環境を利用しプログラムを作成することで、より自由度の高いカスタマイズが可能となっております。※サーバーレス環境とは:
システムを実行するために必要な設備(サーバー)がベンダー(提供者)で用意されている環境のことで、自分でサーバーを管理する必要がなく、システムのみの管理が可能になります。 - TaskRouter:
受電時の情報に基づいて、どのオペレーターにその対応を割り当てたいかなどを設定したり、各オペレーターが同時に対応するタスクの数を指定することで、通話とチャットを同時に行うなどのマルチタスクを実現することができるツールになります。今回では、コールセンター(Twilio Flex)に通知が来てから、内線用グループや、対応可能なオペレーターに回したり、離席中のオペレーターには回さない等、どのオペレーターへ対応を割り当てるかをこのTaskRouterを用いて実現しました。
- Conversations API(予定):
SMS、MMS、チャット、メッセージングアプリでの対話をサポートするAPIになります。
こちらを利用してチャット機能を拡充していく予定です。
コールセンター内やVPN接続による回線の状況、他部署でのネットワーク負荷、利用しているヘッドセットなどによる機器の問題等が重なり、通話品質の再現に苦労しました。
ZoomやSkype等のWeb会議ツールでもよく起こる問題かもしれませんが、コールセンターではその性質上、安定した通話品質を提供できなくてはいけません。
このような問題は上記で挙げた通り様々な要因が重なるため、入念に確認や調整を行う必要があるでしょう。
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