第5回:営業編
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出来上がった品物はどのようにお客さんのもとに渡るのでしょうか。
Kは再び、営業の森本さんのところへ向かいました。
「印刷物ができあがったのですが、お客さんへの納品はどのようにしているんでしょうか?」
「納品の前に、まずはサンプルのチェックからやな。ページ順がまちがっていないか、落丁がないか、汚れがないか、
背表紙が曲がっていたり、製本の崩れがないかをチェックしとるよ。
印刷中に立ち会って、直接、工場のラインで印刷状態の確認なんかもやってるで。
これで、問題なかったらお客さんへお届けやな」
「しっかりチェックしているのですね。お客様にお届けするのは、運送会社などにお願いしているんでしょうか?」
「いや。基本的に営業が車で運んで、直接お渡しして納品する感じやね。
遠方のお客さんとか、希望があったときは宅配便で送付して納品することもあるけどな」
「では今回の記念誌も、営業さんが車で納品することになるんでしょうか?」
「お客さんから何も注文がなければそうなるね。
こういう記念誌だと、たまにお客さんの配布先一人ひとりに送ってほしいって注文がくるときもあるんよ。
そういうときはお客さんに直接納品しないで、依頼された個別宛てに発送を代行することもあるで。
納品の方法もお客さんと相談して決める感じやね」
「納品まできて、ようやくひと段落といった感じですね」
「せやね。でも、品物が出来上がったからといって喜んでばかりもいられへんで。
納品のあとはお客さんに印刷物の効果、つまり出来上がった冊子の評判とか、何かの製品のチラシとかカタログやったら売り上げの変化を聞いて、改善点なんかがないか考える必要があるんや」
「出来上がって終わり、ではなく、そうやってより良い商品を作れるようにしていくのですね」
冊子の作成について、受注から納品までを一通り知ることができた新人K。
今回の大学教授の記念誌だと費用も抑えられるオフセット印刷での注文がいいと、友人に報告しました。
こうして相談を受けて、オフセット印刷という印刷方法に着目して、記念誌の完成までを追いましたが、印刷の世界は奥が深そうです。
調べれば調べるほど他の印刷方法やプリプレスについても興味が湧いてきたKは、機会があればまた調べてみようと思うのでした……。
vol.1「初めての冊子編」 おわり
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